子持ちLGBTの女性取締役が考える、ダイバーシティ(多様性)

私(Tomo)は二人の子持ちシングルマザーでLGBTで会社役員(取締役)をしています。

突然ですが、日本の企業においての女性役員の割合はどのくらいだと思いますか?

少し古いですが商工リサーチの調査を元にしたこちらの記事がまとめてくれていたので引用させていただきます。

上場企業の女性役員:初の3000人台、比率は9%に上昇も社外取締役が中心

https://www.nippon.com/ja/japan-data/h01426/
2021年度の上場企業の女性役員は増加し、初めて3000人台に乗せた。全役員に占める女性の割合も9%と、前年度(7.4%)に比べてわずかに上昇した。「性別に関係なく能力で判断を」という社会的要請や投資家のニーズが背景にある。ただ、女性役員といっても内部昇格ではなく、社外取締役の登用が目立つのが実情だ。

女性役員比率が30%を超えているフランス、ドイツ、イギリス、アメリカなどの先進国と比較すると非常に低い割合なのはなんとなく皆さん把握していたとは思います。それでもわずかなら上昇してきているとの事。

ただし、社外取締役の登用が8割弱と圧倒的に多いのが現状です。

上記は役員のうち取締役に絞ったデータですが、21年12月時点での上場企業の女性取締役の累計2423人のうち、社内取締役が538人で、残り1885人は社外取締役。平均年齢は59歳。

社内で女性取締役の育成が追いついていない企業が、女性比率を上げるための数合わせに、社外取締役を採用する傾向にあります。(あくまで傾向であり、個人の主観的な意見にはなります)

本来なら女性社員が役員に登用されるのが望ましく、比率の上昇自体は喜ばしいことですが、実態にも目を向けることが必要です。

背景の一つとして、東京証券取引所における上場企業を対象にした、企業統治のためのガイドライン(コーポレートガバナンス・コード)の改訂があり、改訂版では、サステナビリティダイバーシティに関する原則が追加され、対象企業は新しい時代に向けた経営方針の策定や組織づくりなどに取り組む必要があります。

法的拘束力はありませんが、上場企業は従わなければならないガイドラインとなっています。

今後LGBTにおいても同じ流れがやってくると予想しています。

米ナスダック、上場企業に女性やLGBTQの役員登用を義務化へ

https://forbesjapan.com/articles/detail/38496
米国の証券取引所ナスダックは12月1日、上場企業の取締役会のダイバーシティ(多様性)の向上を促すための新たな規則を策定し、SEC(米証券取引委員会)に承認を要請したと発表。

 新規則は上場企業に対し、少なくとも1人の女性と1人の人種的マイノリティもしくはLGBTQを自称する人を役員に任命し、報告書を公表することを義務づけるものだ。

女性の役員を登用する動きが加速している日本ですが、欧米ではすでに女性だけではなく、人種的マイノリティもしくはLGBTQの登用を義務化しています。

また、ゴールドマンサックスは新規株式公開(IPO)の引き受けに際し、上場希望する欧米企業には最低1人の女性取締役やマイノリティーの起用を求めています。

この流れが日本にも訪れた時、女性と同様に数合わせでのLGBTの社外取締役を選出する企業が大半となり、本質的ではない登用が相次ぐ可能性もあるのではと想像しています。

ただし男女の性別とは異なり、LGBTQには社会的なカミングアウトの有無などセンシティブな問題もあって容易ではないため、必然的に取引や資本関係がなく社会的カミングアウトをしている著名人や弁護士を登用する動きとなるのも仕方のない部分もあるかもしれません。


ここで私の話を少しさせていただくと、私は取締役と言えど、非上場の中小企業で役員をしています。

さらに使用人兼役員のため、経営よりもプレイヤー寄りの動き方をしています。

日本の上場企業は目まぐるしい国際情勢を急ぎ取り込む形で取締役や中核人材の“多様性”を強く求められていますが、企業が内部で多様な幹部人材を育成することから取り組んでいかなければ、ダイバーシティは実現できないと言われています。

IPOを目指しているわけでもない私たちのような小さな中小企業では、設立当初から多様性を意識しない自然な流れがあります。

私の会社は30数名のITベンチャーで、小規模な米国支社があり、グローバル人材(外国人、バイリンガル、海外在住経験ありなど)が大半をしてめており、私の他にLGBTのメンバーもいます。

求人応募してきてくださる方々の中には面談時にセクシャリティを伝えてくれる人も多くいます。

会社総出でダイバーシティを掲げるを大体的なコンテンツ発信をしているわけではありませんが、「様々なバックグラウンド、人種、セクシャリティ、性別、家族構成の人材が活躍している少人数の会社」という点が、大企業と比較すると本質的に受け入れている企業として捉えてくれているのかもしれません。

まさに今、世界的にLGBTムーブメントが起きていますが、私自身あまり当事者な意識はありません。

これはよく言えば自然体と言えますし、悪く言えば自分とその周りの少数にしか関心がないと捉えられると思います。

しかし、当事者やその周囲が足元の環境から整えていくことが、少しずつでも多様性(ダイバーシティ)の推進につながるのではないかと考えています。

このメディアのもう一人の筆者である私のパートナーPoohも、日本では数少ないであろう女性+LGBTの女性管理職です。

ここまで書いておいてあれですが、私もPoohも管理職や役員になりたくてなっているかというとそうでもなく、やらなくて済むならやりたくないという本音もあります笑

しかし意欲もあって結果も出しているのに、女性だから、LGBTだから、人種が違うからなどの差別的な理由でチャンスが巡ってこないような状況は打破していくべきと考えています。

昇進意欲が無い私や役員をしている一つの理由として、チームであるメンバー達の「心理的安全性」の向上があります。

本来の自分を安心してさらけ出せること、一人ひとりが自らの考えや感情を気兼ねなく表明でき、それによってチームの生産性が高まりバリューを発揮しやすくなれば、会社と従業員どちらにとっても良い結果に繋がっていくと信じています。


最後に、レズビアンであることを公にして、40代で、女性で、LGBTで、子育て世代であられる認定NPO法人・虹色ダイバーシティ代表の村木真紀さんの記事をご紹介します。大企業の社外取締役をやられております。

今回の記事では偉そうに社外取締役=本質的ではないというような文脈になってしまっているところもありましたが、こちらの記事を見ていただければ、ご本人がLGBTQ研修されていたり(私も受けてみたい!)、当事者として大企業に貢献されている実態を覗けると思います。

「企業経営にマイノリティの視点を」上場企業にLGBTQの取締役が誕生

https://news.yahoo.co.jp/byline/inosehijiri/20220712-00305322

8歳息子と6歳娘のいるパンセクシャルシングルマザーの34歳。 ITベンチャー会社役員。 お酒と睡眠と天丼が好き。 優しさが取り柄と思っているが、パートナーからは頑固でプライドが高いと言われている。 英語はハローとサンキューしか分からない。